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<<   作成日時 : 2012/08/13 09:54   >>

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民間主導で行われていた救貧は、この救貧法制定を境に、国家救済の色が濃くなります。しかし面白いのは、国家救済の礎を作ったのが、reformationされたキリスト教であったということです。

そして、貧困と新キリスト教、すなわちプロテスタンとの関係でいえば、この禁欲主義が、資本主義を形成し、そしてこの制度の中で貧困者を大量に生み出してしまったという皮肉でしょう。貧しいものと富める者の二分化を生みだしたからこそ、この制度には問題点が内包されていると考え、国家が貧困者への積極的な対応の道を切り拓いていったと考えることができるのです。すなわち福祉国家の創造、具体的には、生存権規定に代表される、国家が市民社会に介入することで人間の幸福を実現される社会権的基本権の確立です。

ずっと述べてきたように、救貧法の特徴は、働ける貧困と働けない貧困を峻別し、働ける貧困に対して徹底な労働を強いたということです。
この国家による救貧政策には歴史的に言って、二つの大きな流れがあったようです。

代表的な論者は、ボザンケとウェッブ夫妻です。

乱暴な分け方をすると、ボザンケは、救済は民間を中心に行うべきであるとし、一方ウェッブは、専門機関が行うべきだという主張でした。

いわば、ボザンケの考え方は、改めて慈善の有効性を説き、ウェッブは処遇の専門性を説いたと考えることができます。

すなわち、ボザンケは、国家救済から民間救済へと考え、ウェッブは国家[公的]救済の強化を主張しました。
この対立の中で、英国は民間救済の強化を選択します。

その理由は「公的資金によって直接捻出される国家サービス主導よりも『慈善のほうが』その方法において自由であり、計画において大胆なのである」(Report of the Poor Law Comission,他)すなわち、公的機関が行う救済は、融通がきかず、画一的、効率的でないということでしょう。この議論は現代でも行われます。
ではその民間救済をどのように展開したか。それが慈善団体でした。救貧法廃止して、慈善団体に任せるやり方です。

そして慈善の統一化と画一化そして組織化を図る慈善組織化協会、通称C.O.Sがつくられ、ここが貧困者の支援の前線になるわけです。

これもすでにお話していますが、ここで行われていたのがケースに当てはめるというケースワークという作業でした。
救済に値する、値しないを明確にする作業が重要であったこともすでに触れてあります。

ボザンケというときの学者(保守的な立場をとる学者)は慈善組織化協会の働きについて「慈善組織運動は、規則を持たず原則のみをもっていることを誇りにしている。この原則とは、市民精神の支持及び回復である。あらゆる手段はこの目的を導くものであれば善なのだ」(Charity Organization and the Majority Report)
少々解説すると、「市民精神の支持と回復」とは他者から施しを受けることなく自立生活を送っている『レスぺクタブル』尊敬に値するひとだということです。

慈善を否定した英国の救貧方法が再び慈善にすがるこの過程は、注目すべきだと思います。
ではこの時代の貧困観とは何であったのか。ボザンケはいいます。
「貧困問題を生み出す社会的原因は、誤った形で運営されている救貧制度そのものにあるという主張である「飢餓のムチ」という強制が人間の労働の動機を形成した過去とは異なり、近代のような『最も文明化され組織化されたコミュニティにおいては何らかの福祉制度が成立している』(江里口 拓)

 すなわち、まじめに働かない連中は、飢餓のムチで徹底的に鍛え上げれば、自然と働くようになるのに、その前に簡単に救ってしまっているから、いくらたっても貧困がなくならない。という考え方でしょう。
すなわち貧困を個人の道徳的な問題に帰するのです。


この後いくつかの試練を経て、英国ではベヴァリッジ報告が作成され、ナショナルミニマム(最小限の人間らしい生活の国家による保障・・よくいう『ゆりかごから墓場まで』)が作られることになります。しかしこの報告の中でも「国は、各個人が自分自身および家族のために、最低限度以上の備えをしようとして、自発的に行動する余地を残し、さらにこれを奨励すべき」と定めていて、ある意味、国家救済を限定的にとらえているのがわかります。
やりすぎは、人間の働く意欲を失わせるという、よく見る論調でしょう。


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